2012年9月29日土曜日

プラセンタについて


  9月上旬の話なのですが、大阪府保険医協会の年金加入者の集い、というのに参加しました。

その時に隣席に座られたのが、ちょうど整形外科で開業されている先生だったのですが、レーザー脱毛やプラセンタ、ED内服治療にAGAまでされている、ということで、整形外科の治療と共に話が盛り上がりました。

プラセンタは、ヒト胎盤酵素分解物(添付文書はこちら)で 、効能効果に書かれているように、肝機能の改善効果があります。

あわせて用法及び用量の部分を読んで頂くと分かりますが、
1日1回2mlを、皮下または筋肉内に注射する。(1日2~3回注射可能) と書かれています。
美容外科でプラセンタ治療を受けたことのある方なら分かるかと思いますが、いわゆる美容外科や美容皮膚科に行くとプラセンタは、血管注射や点滴に混ぜて投与するのがポピュラーなやり方であり、それがさも当然であるかのようにHPには一切投与方法に関する注釈などはありません。
しかし、私は入っていませんが、日本胎盤臨床研究会のHPを見ると様々な情報が提供されています。
その中から抜粋すると、
プラセンタ療法を始める前に
プラセンタ静脈注射、点滴について
では、静脈注射、点滴のリスクと共に勧めていない事が書かれています。
上記資料にもあるように、そもそもプラセンタ治療は、開発当初胎盤組織を皮下に埋没しています。皮下に埋没させることにより、代謝、排泄されにくくすることで長時間の効果持続も得られます。加えて、この方法には安全性にも多数のエビデンスが存在し、だからこそ厚労省も認可しているわけです。

では、何故厚労省もみとめていない、しかも皮下注、筋注に比較して短いはずの静注、点滴が今でも行われているのか...。
これは私が美容に携わる前から行われていることですので、推測でしかないですが、
不勉強で本来の用法が皮下注または筋注であることを知らない輩は別にして、
知っているのに静注、点滴を続ける理由があるとすれば、それは
効果が少ないからこそ、頻回投与を勧めやすい、
また、
血管注射や点滴だと他のビタミン剤などを混注することにより単価を上げることが出来る。
という理由くらいしか思い当たりません。

医師として仕事をやっている限り、保険診療であろうと自由診療であろうと、患者さんの利益になるように尽くすのが普通とは思いますが、医業も一つの事業であることは事実ですし、非課税の診療報酬と異なり、自由診療の売上には課税されることも考えれば、致し方ないのかもしれません.

患者さんの立場ではどう考えられるでしょうか...

別の理由(何か有効性に関するエビデンスをお持ちとか)で静注、点滴を行っているんだ!と仰る先生がいらっしゃれば、是非学会などで皆に周知をしていっていただきたいとも思います。

◆ 参考資料 ◆
日本胎盤臨床研究会
プラセンタリサーチ
プラセンタ療法を始める前に
プラセンタ静脈注射、点滴について

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